AGA治療のデメリット 高悪性度前立腺癌発症リスク
男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモンのテストステロンが発症に関与する、男性特有の薄毛症状です。テストステロンは95%は睾丸から分泌され、残り5%は副腎から分泌されます。そのため、性器の発達する思春期以降にテストステロンの分泌量は増加します。それに合わせてAGAの発症リスクも上昇します。
AGA治療においてはプロペシアという薬が主に使用されます。プロペシアはテストステロンが毛根内で活性型となるのを助ける酵素である5αリダクターゼを阻害します。つまりプロペシアはテストステロンが活性型になれないようにすることで男性ホルモンの働きを抑え、AGA治療薬としての効果を発揮します。AGA治療薬プロペシアを使用する上でのデメリットは、高悪性度前立腺癌の発症リスクが上昇するという点です。
高悪性度前立腺癌とは、つまり増殖能が高く、組織への浸潤スピードが速いことを意味します。なぜそうなるのかというとテストステロンが前立腺細胞の成熟に関与しているからです。プロペシアは毛根の5αリダクターゼだけでなく前立腺の5αリダクターゼを阻害します。そうなることにより前立腺に対してもテストステロンは影響を及ぼさなくなります。
テストステロンによって前立腺細胞が成熟しないと、未分化型の前立腺細胞が組織内に増えてしまいます。未分化型の場合は増殖能が分化済みの細胞より高い状態になります。もしこの未分化型の前立腺細胞が癌化すると、増殖能の高い高悪性度前立腺癌ができあがるというわけです。